研究書 monograph

しなやかな組織としてのことば

著者
竹鼻圭子
しなやかな組織としてのことば
規格
A5判/232頁/定価2,730円
ISBN
978-4-269-77039-3
ジャンル
レベル
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書籍内容 Contents

まえがき

1章 語と意味論
[1] 前置詞の空間的意味関係
1. 前置詞のネットワーク
2. プロトタイプ
 2.1 認知心理学と実験とプロトタイプ
 2.2 Protosceneとoverの多義性
3. 空間用法前置詞の意味ネットワーク
 3.1 上下の関係を表す前置詞
  3.1.1 overとunder
  3.1.2 aboveとbelow
  3.1.3 upとdown
 3.2 内外や接触の関係を表す前置詞
  3.2.1 at, on, in
  3.2.2 away, off, out
 3.3 反意性と類義性
4. 前置詞から副詞へ
 4.1 away
 4.2 down
 4.3 in
 4.4 on
5. むすび

[2] 空間的意味から時間的意味への広がり
1. 前置詞とメタファー
2. メタファーと言語変化
 2.1 メタファーによる写像
 2.2 言語変化のプロセス
3. 空間から時間へ
 3.1 存在、容器のメタファーと時間表現
 3.2 方向づけのメタファーとアスペクト
 3.3 「起動」、「完了」と構造保持
4. むすび

[3] 前置詞overの多義性―認知意味論
1. 多義性と認知文法
2. イメージスキーマOverの心理学的検討
3. Overに関するイメージスキーマ
 3.1 overのイメージスキーマ
 3.2 動詞―overとイメージスキーマ
4. むすび

[4] 前置詞overの多義性の原点―典型意味論
1. 多義性と典型意味論
2. 典型意味論
3. Space Grammar
4. overの意味機能
 4.1 前置詞overの空間的意味
 4.2 副詞的overの基本的意味
 4.3 副詞的overの抽象的意味
5. 動詞―overの連鎖の意味機能
 5.1 Bird形典型
 5.1 Long形典型
6. むすび

[5] 前置詞と副詞的小辞
1. 前置詞と副詞的小辞
2. 典型意味論とは
3. 前置詞から副詞へ
 3.1 away
 3.2 down
 3.3 in
 3.4 off
 3.5 on
 3.6 out
 3.7 over
 3.8 up
4. 動詞小辞結合の典型意味論的分析
 4.1 Bird形典型
 4.2 Long形典型
5. むすび

2章 文と統語
[1] フラクタルと文構造
1. 統語構造とフラクタル幾何学
2. 普通文法 vs. 高度な記号操作能力
3. 脳と言語
 3.1 言語機能に携わる脳の3つの機構
 3.2 概念の蓄え方、再現の仕方
 3.3 脳の損傷部分からその機能を探る
4. フラクタル幾何学と句構造
 4.1 X理論と自己相似性
 4.2 フラクタル幾何学
  4.2.1 コッホ曲線
  4.2.2 自己平方フラクタル
5. むすび

[2] 脳と言語
1. 「言語能力」再考、脳研究と言語研究の接点
2. 照応関係の構造表象と概念表象
3. 開かれたシステムとしての言語
4. むすび

[3] 構造的アナロジー
1. 動詞小辞結合と構造的アナロジーのメカニズム
2. 動詞小辞結合の文法的特徴
3. 統語論と意味論
 3.1 統語論
 3.2 意味論
4. スキーマ化と文法体系
 4.1 アナロジーのメカニズム
 4.2 スキーマ化と動詞小辞結合
5. むすび

[4] 疑似受動文
1. 英語の疑似受動文について
2. 疑似受動文の統語論
3. 疑似受動文の語用論
4. むすび

[5] 前置詞と副詞的小辞
1. 動詞小辞結合と有標語順
2. Particle Movement
3. Directional Adverb Preposing
4. むすび

3章 テキストと修辞
[1] 自然言語の巨視的構造
1. 自然言語
2. 自然言語の構造の拡大
 2.1 拡大する構造
 2.2 認識されるべき問題点
3. 自然言語の巨視的構造
 3.1 自然言語の多次元構造
 3.2 社会言語学によるモデルの拡充

[2] 英語条件文の推論事象
1. 特殊条件文
2. これまでの研究
3. 語用論的枠組み
4. 特殊条件文の分析
5. むすび

[3] 英語条件文の意味論的分析
1. 意味論と語用論
2. Conventionally Conveyed
 2.1 Semantically Conveyed
 2.2 Nonsemantically Conveyed
3. Nonconventionally Conveyed
 3.1 Generally Conveyed
 3.2 Particularly Conveyed
4. むすび

[4] 認知理論における日本語の仮定表現
1. 日本語の仮定表現
2. 文脈と仮定表現
3. 日本語の仮定表現と命題関係
 3.1 「S1 ト S2」
 3.2 「S1 バ S2」
 3.3 「S1 タラ S2」
 3.4 「S1 (ノ)ナラ S2」
 3.5 「S1 テモ S2」
4. むすび

4章 文字と記号表象
[1] 視覚的表象としての文字とことば
1. 視覚記号と音声言語
2. 記号と文字
3. 視覚表象としての文字と意味
 3.1 言語処理の一般モデル
 3.2 言語処理と「焦点化」―墨跡を巡って
 3.3 万葉仮名の挑戦
4. 文字がもたらしたことばの変化
5. むすび

[2] 談話の理解と記憶について
1. 談話の理解
2. 単文を超えた理解
 2.1 結束性
 2.2 談話の理解と記憶のモデル
3. 階層モデル vs. 多重階層モデル
 3.1 記憶の3.5階層モデルへの反論
 3.2 記憶の多重階層モデル
4. むすび

参考文献