英国小説研究』は、イギリスの小説や小説家に関する論文を収める同人誌で、第1冊は1954年に刊行されている。第29冊には、チャールズ・ディケンズの『ボズのスケッチ』、同じくディケンズの『荒涼館』、ヴィクトリア朝から20世紀初頭の小説批評における〈描写〉、マーガレット・トッドの『モナ・マクリーン』、カズオ・イシグロの小説における〈沈黙〉、同じくイシグロの『日の名残り』を分析した論文が収められた。またこの第29冊から文字を大きく変更し読みやすくなっている。
ジャーナリストから小説家へ
─『ボズのスケッチ』の構成をめぐって─
(新野 緑)
エスター・サマーソンの感情教育
(永富 友海)
英国小説批評における描写批判
―物語性・イデア・迫真性
(金谷 益道)
世紀末のシスターフッドとMona Maclean, Medical Student
(市川 千恵子)
カズオ・イシグロと沈黙の文学
―省筆あるいは偸聞の語り
(原 英一)
Kazuo Ishiguro が描く現代の〈悪〉
―The Remains of the Dayにおける〈凡庸さ〉の帰結
(向井 秀忠)