研究書 monograph

エレン・グラスゴーと科学言説

南部ルネサンスの萌芽として

著者
本橋 香 著
エレン・グラスゴーと科学言説
規格
A5判/200頁/定価2,200円(本体2,000円+税)
ISBN
978-4-269-74042-6
ジャンル
レベル
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エレン・グラスゴーはアメリカ南部の因習に縛られた女性を客観的に描くことで旧南部文学のロマンティシズムから脱却しようと、南部の伝統的な価値観と格闘し続けた作家であった。リアリズムや自然主義といったヨーロッパを発祥とする文学技巧を南部作家の中でもいち早く取り入れたことで、南部ルネサンスの先駆けと評価されており、ウ ィリアム・フォークナーへとつながる近代南部作家の系譜の起源とみなされている。彼女は現実の社会がどれほど生きづらい世界であったとしても、そこに生活する人々の姿をありのままに描き出そうとし、南部文学のみならず、アメリカ文学史上において大きな足跡を残した。

本書は、グラスゴー作品における科学的言説、ダーウィニズムの受容についての詳細な研究成果である。

書籍内容 Contents

序章

第 1 部 小説と科学言説
 第 1 章 エレン・グラスゴーとダーウィニズム
 ―『ヴァージニア』を中心に

 第 2 章 不幸な結婚は遺伝するのか?
 ―『人生とガブリエラ』より

 第 3 章 観察と想像力を用いた身体表現
 ―『この世の中で』における社会神話をめぐって

第 2 部 『不毛の大地』再考
 第 4 章 女たちの狂気は遺伝か、環境か

 第 5 章 〈ニュー・ウーマン〉へと進化する農園主夫人像

 第 6 章 心象風景としての植物描写

第 3 部 南部の内側からの抵抗
 第 7 章 アメリカ南部白人女性像の変化
 ―グラスゴーとリチャード・ライトの対照的アプローチから

 第 8 章 グラスゴーの戦略的シスターフッド
 ―アレン・テイトと H. L.メンケンとの書簡から

 第 9 章 サラ・ハートの自分ひとりの文学

終章


あとがき
参考文献