「私の人生哲学は、今という時に最善を尽くすことです。」(ビアトリクス・ポターの言葉)
ピーターラビットの生みの親、ビアトリクス・ポターをご存知でしょうか。 実は彼女は、数多くの困難と挫折に遭遇する悩み多き人生を送った作家だったのです。
たとえば、ポターは1905年に彼氏からのプロポーズを受けました。その時彼女は39歳になっていました。両親は何かと口実を見つけてはポターの彼氏と会おうとしなかったのですが、両親がついに結婚を承諾してようやく婚約をしたとき、その直後にポターの彼氏は急死してしまったのです。
本書は、ポターの人生の謎を、作品、手紙や日記、様々な人たちによるポターに関する文献から紐解いていき、困難な状況に遭っても作品を描き、最善を尽くして強く生きようとした彼女を浮き彫りにしていきます。 ピーターラビットを生み出した傑出した絵本作家、ビアトリクス・ポターの知られざる生き方に、ぜひ触れてみてください。
「この本を、今悩んでいる若い人にも、人生の中盤で立ち止まってしまった人にも、そして終活を迎えている人にも読んでほしいと願っている。」(本書「はじめに」より)
はじめに
第一章 ビアトリクス・ポターの秘密の箱
『妖精のキャラバン』と『妹アン』における人生逃避行
第二章 ポター家のルーツ探し
『グロスターの仕たて屋』と『ティギーおばさんのおはなし』における腕利き職人の世界
第三章 理想の子供時代を求めて
『ピーターラビットのおはなし』、『ベンジャミン・バニーのおはなし』と『フロプシーのこどもたち』における家族の絆と子供との対話
第四章 ジャーナリスト志望? 隠されていたペンの力
暗号で書かれた『日記』にみる批評眼
第五章 理系女子ポター、きのこ研究家デビュー断念
『のねずみチュウチュウおくさんのおはなし』と『カルアシ・チミーのおはなし』にみる科学の力
第六章 愛のキューピットはどこに?
『あひるのジマイマのおはなし』と『こぶたのピグリン・ブランドのおはなし』における愛と結婚への賛歌
第七章 ビジネスウーマンへの転身
『ジンジャーとピルクズやのおはなし』における商売繁盛への道
第八章 オピニオン・リーダーへの進化
『りすのナトキンのおはなし』における権力への抵抗
あとがき
参考文献