時間の作家、ウルフを空間的に把握する論考!
疾走する時計の時間における、わずかな停止空間である「瞬間」を捉えるための儀式、それがパーティである。
ヴァージニア・ウルフにおける「パーティ空間」の特色と意義を、多くのイメージの読解によって解明していく。
『ダロウェイ夫人』のクラリサは、パーティの意味を問われて、「私がパーティを開くのは人生のためだ。
人生とは、ある場所にある人がおり、別の場所には別の誰か、さらに別の場所に他の誰かがいる、これらの人の存在をたえず私は意識しているというものだ。私はなんと無駄なこと、なんと惜しいことと思う。
彼らを一堂に集めることさえ出来たらと思う。そこでそうするのだ。パーティとは結合し創造する努力、一つの供物(offering)である」という風に言っている。(本書「序」より)