研究書 monograph

今を生きるケルト

−アイルランドの言語と文学−

著者
京都アイルランド語研究会 編 / 執筆者代表 梨本邦直 / 執筆者 荒木孝子・池田寛子・谷川冬二・中村千衛・春木孝子・疋田隆康・菱川英一
今を生きるケルト
規格
四六判/232頁/定価2,310円
ISBN
978-4-269-72081-7
ジャンル
レベル
--
--

書籍内容 Contents

序文
? アイルランド語の歴史 梨本邦直
? アイルランド語文学の歴史 谷川冬二

言語編
? アイルランドにおける古典の伝承とケルト・イメージ 疋田隆康
1. はじめに
2. アイルランドにおける古典の伝承
3. 中世西ヨーロッパにおける古典の伝承とケルト・イメージ
4. おわりに

? VSO言語とコピュラ文の構造 梨本邦直
1. ケルト系の言語とコピュラ
2. アイルランド語のコピュラ文
 2.1. 分類用法CPS
 2.2. 同定用法CPS
 2.3. 存在動詞による分類用法
3. ウェールズ語のコピュラ文との比較
 3.1. 分類用法VSP(Comp)
 3.2. 同定用法PVS
4. VSO言語におけるアイルランド語CPS語順
5. アイルランド語の前置詞le, doを伴うコピュラ文CPppS
 5.1. 三つの分類
 5.2. (i)叙述の対象を導く客観的用法
 5.3. (ii)人の意見を表す主観的用法
 5.4. (iii)前置詞le,doが意味上の主語を導き、コピュラと述語が動詞化する用法
6. 概念上のVSO語順
 6.1. (i)意味上の他動詞VSO
 6.2. (ii)意味上の自動詞VSComp
 6.3. (iii)法を表す助動詞句
7. 概念上VSO語順の統語・形態上の根拠
 7.1. 主語代名詞と前置詞的代名詞の混同
 7.2. コピュラの述語と動詞形の混同
8. 結論

? 形容詞述語文におけるコピュラと存在動詞の動詞交替(研究ノート) 中村千衛
1. はじめに
2 .これまでの研究
3. 動詞交替の要因
 3.1. 英語の影響
 3.2. 個体レベル(individual-level)と記述レベル(stage-level)の形容詞
 3.3. <コピュラ>+<形容詞+定冠詞+名詞>+<主語>構文
4. ゲール諸語の特徴としての形容詞述語文
5. おわりに

文学編
? 詩における句の考察−アイルランド語の4強勢詩行− 菱川英一
1. 理論的前提
 1.1. 音の役割
 1.2. 韻律
 1.3. 考察対象
 1.4. 句強勢
 1.5. アイルランド語強勢詩のリズム
 1.6. 句境界
 1.7. 句と母音韻
 1.8. 行
 1.9. 図式化
2. 2強勢詩行
3. 3強勢詩行
4. 4強勢詩行
 4.1. 4強勢詩行(3拍子)
 4.2. 4強勢詩行(2拍子)
5. 5強勢詩行
6. 6強勢詩行
 6.1. 6強勢詩行(ローカーン)
 6.2. 6強勢詩行(クロサーンタハト)
7. 7強勢詩行
8. 8強勢詩行
9. 総括

? ローシーン・ドゥヴとカーチリーン・ニウァラホーィン−アレゴリカルな二つの詩とマンガンの翻訳詩− 荒木孝子
1. はじめに
2. ジェイムズ・クラレンス・マンガンについて
3. 『ネイション』とマンガンの関係
4. マンガンが翻訳した原詩およびその背景について
 4.1. アシュリング(Aisling)で書かれた二つの詩
 4.2. 「ローシーン・ドゥヴ」
 4.3. 「カーチリーン・ニウァラホーイン」
5. 原詩がマンガンの詩作に与えた影響
 5.1. 「黒い髪のロザリーン」
 5.2. 「キャサリーン・ニフーラハン」と「カーチリーン・ニウァラホーィン」
6. マンガンが特に省略した肉体に関わる部分
 6.1. 「ローシーン・ドゥヴ」の翻訳
 6.2. 「カーチリーン・ニウァラホーイン」の翻訳
7. オデイリーの『マンスターの詩人たちと詩』が劣った詩作ばかりである理由
8. 結び

? 1798年蜂起−W.B.イェイツのケルト論の背景− 谷川冬二
1. はじめに−モラル・フォースとフイジカル・フォース
2. イェイツ編『アイルランド詩撰』の1798年
3. イェイツの階級認識
4. 1798年蜂起とイェイツのケルトの民の原像

IV モーイラ・ヴァッカンツィーの哀歌にみる伝統の継承と発展 春木孝子
1. 1940年代以降のアイルランド語詩
2. 「死」の主題
3. 死者を嘆く哀歌について
 3.1. 臨場感のある哀歌(caointe)
 3.2. 文学的な哀歌−古典音節詩の挽歌、強勢英雄詩、回想詩
4. ヴァッカンツィーの哀歌
 4.1. コルカ・グィーネと広汎な古典の素養
 4.2. ピアラス・フェリテールの影響
5. 1987年出版詩集『今まで』(An Cion Go Dti Seo)の哀歌
 5.1. 回想詩における古典的要素
 5.2. 臨場感と詩人の役割
6. ヴァッカンツイーの哀歌発展の行方
7. 結び

? フイヌーラの声−アイルランドを越える『リアの子どもたちの悲劇』− 池田寛子
1. はじめに
2. 物語の歴史的背景
3. 19世紀以降
4. ヌーラ.ニゴーノル
5. ビデイ・ジェンキンソン
6. 終わりに

あとがき
索引
執筆者紹介
CDトラックリスト