研究書 monograph

ノスタルジアとしての文学、イデオロギーとしての文化

−『妖精の女王』と『源氏物語』、「ロマンス」と「物語」−

著者
大野雅子 著
ノスタルジアとしての文学、イデオロギーとしての文化
規格
四六判/236頁/定価2,520円
ISBN
4-269-75022-7
ジャンル
レベル
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ナショナリズムが文学を創造する
ノスタルジアがイデオロギーとして機能するとき、<前近代>の文学は「過去性」を身にまとって立ち現れる。 『妖精の女王』と『源氏物語』にはいかにノスタルジアが刻印されているか。

書籍内容 Contents

序 「ノスタルジア」というイデオロギー

第一章
「近代」における「反近代」の誘惑−十九世紀英国の英文学研究とナショナリズム−

「中世趣味」と「貴族趣味」 /  英語英文学の再発見 /  「中世」という価値 /  ナショナリズムと「伝統」の発明 /  ハイ・カルチャーとしての「文学」

第二章
ノスタルジアとしての「ロマンス」

『妖精の女王』のロマンス化 /  ロマンスとロマンティシズム /  ノースロップ・フライとフレドリック・ジェイムソンのロマンス批評 /  ロマンスとは何か

第三章
ノスタルジアとしての「物語」

折口信夫と日本文学の「発生」 /  「物語」と「小説」の弁証法 /  中上健次の「物語」 /  夕顔の「物語」 /  「物語」は真実か /  「異界」からやってくる「物語」

第四章
『源氏物語』のノスタルジア

「源氏物語」と「昔物語」 /  昔物語とは何か