テクストが刻む共和国の揺らぎ
グローバリズムと覇者アメリカの誕生。美徳の共和国から世界帝国へ。文学テクストはその揺らぎと変貌をいかに捉えてきたか。20名の研究者がアメリカ的想像力のダイナミズムを鮮やかに検証する。
1 異文化へのまなざし
貧者の友からのアメリカ便り(『移民の手引き』) 大井浩二 /
戦慄の絆(「ウィリアム・ウィルソン」) 西山智則 /
クリストファー・ニューマンはほら話を理解したか 舟阪洋子 /
エスニック・アイデンティティのゆくえ(『ラブソング』) 勝井伸子
2 フェミニズム、ジェンダー
女性医師と「分けられた領域」(「ドクター・ゼイ」) 相本資子 /
織機の間の知性(「労働文学」) 小林富久子 /
トウェイン異装の試み 辻本庸子 /
グラスペルに見る反逆者/創造者としてのフェミニスト 貴志雅之 /
『広い、広い世界』におけるパプリカニズム 平松さやか /
3 物語るメディア/メディアとナラティブ
フレームの彼岸から自伝の暗室へ(『舞踏会へ向かう三人の農夫』) 渡辺克昭 /
記憶のドキュメンタリー(『我らが有名人を讃えよう』) 中 良子 /
『目撃者』から読み解く「アーミッシュ文化」 井上久夫 /
4 テクストの迷宮
オウエン・ゲレスと集団無意識 市川美香子 /
フィッツジェラルドと中西部 藤谷聖和 /
「エミリーへのバラ」における反復のモチーフについて 森岡裕一 /
表出するもの、しないもの(「エミリーのバラ」) 沖野泰子 /
5 文学、資本主義、イデオロギー 屋敷は残った(『七破風の屋敷』) 増永俊一 / テクスチュアル・クーデター(『ビリー・パッド』) 橋本安央 / 『穀物取引所』 井上稔浩 / 南部の憂鬱−文学とイデオロギーの狭間− 花岡 秀