原書The Opening of the American Mind:Canons,Culture,and History(1996)の第三部”The Search for American Identity”を抜粋。
アメリカ人とは何か、というのは、古くて新しい問いかけだが、多民族社会アメリカのメタファーが「人種のるつぼ」から「サラダボウル」へと
変化する状況の中で、アメリカン・アイデンティティはどのように形成されてきたか、という問題を、歴史的コンテクストにおいて考察する。
巻末の詳注と別冊の教授用書は、アメリカ文化史研究の第一人者であり、リベラルな歴史家である原著者の姿勢を浮き彫りにする。精読に値する好著。
原著者は、リトアニア移民とロシア移民の子として、1933年にニューヨーク市で生まれ、1962年にコロンビア大学で学位を取得した後、
カリフォルニア大学バークレー校で長年教鞭を取り、現在は同大学名誉教授となっている。
書籍内容 Contents
1 "From the Melting Pot to the Pluralist Vision"
「るつぼ」理論から「多文化的ヴィジョン」にかけての基本的文献を紹介し、適切な引用を交えながら、明快な解説を加える。
2 "The Troublesome Presence"
アメリカ社会に流入してきた移民たちが、主としてアングロサクソン系アメリカ人の目にどのように映っていたかを、
思想家や宗教家や小説家などの著名な知識人の発言を通して明らかにする。
3 "The Ethnic Dynamic"
エスニック集団の同化過程を、著者の両親や著者自身の個人的な経験と、「中心と周縁」や「クレオール化」といった理論の両面から
分析する。