研究書 monograph

話し手の文法から聞き手を組み込んだ文法へ

著者
北林 利治 著
話し手の文法から聞き手を組み込んだ文法へ
規格
A5版/200ページ/定価3,740円(本体3,400円+税10%) 
ISBN
978-4-269-77063-8
ジャンル
レベル
--
--

話し手は,聞き手を考慮に入れて表現を作り上げていく.文を産出するのは話し手のほうではあるが,話し手が文を生み出す場合,聞き手を考慮に入れるということは当然のことである.このように話し手の様相は,実のところ,話し手が聞き手とどうかかわるかという問題と深い関係にある.このような意味合いで,本書のタイトルを『話し手の文法から聞き手を組み込んだ文法へ』として,聞き手を考慮に入れた文法を描いてみたいと考えたのである.

書籍内容 Contents

はしがき
序章
1. はじめに
2. 見え隠れする話し手の様相
 2.1 2つの省略現象と話し手の省略
 2.2 見えの捉え方から伝え方への展開
3. 文法における聞き手
 3.1 話し手の文法と聞き手の文法
 3.2 聞き手の文法における対話的効果
4. 話し手の外界の捉え方から聞き手への伝達への転化
5. 聞き手の果たす能動的役割
6. 聞き手をめぐる2つの問い
 6.1 1つ目の問い
 6.2 2つ目の問い
7. 本書の構成


第1章 日英語における見えの表現再訪
1. はじめに
2. 話し手による事態の捉え方と見えの表現
 2.1 日英比較
 2.2 転位における知覚者と話し手
3. 英語における臨場の見えの表現
 3.1 知覚者と知覚対象の反転
 3.2 懸垂分詞構文
 3.3 特別な構文を用いる場合
4. 日本語と英語における話し手による事態の捉え方
5. 話し手による事態の捉え方から聞き手への提示の表現へ
 5.1 見えの表現と探索表現
 5.2 見えの表現の表現方策としての参照点構造
6. むすび


第2章 事態の捉え方から対話的効果への展開
1. はじめに
2. 聞き手への参照点の提示と対話的効果
 2.1 見えの表現の聞き手への提示
 2.2 見えの表現による聞き手への提示と対話的効果
 2.3 対話的効果と追体験の表現
3. 文法における話し手と聞き手の位置づけ
 3.1 話し手の文法から聞き手を組み込んだ文法へ
 3.2 聞き手への提示としての見えの表現
 3.3 スタンスの表明としての話し手
4. 話し手の認知から聞き手への提示への転化
 4.1 日本語における偶然確定条件の表現における転化
 4.2 転化ではない表現による対話的効果の実現
5. むすび


第3章 見えの表現から描写の談話表現へ
1. はじめに
2. 描写表現におけるトピックセンテンス
3. 英語描写表現と原因と結果の関係
 3.1 原因と結果の構造における話し手の感想
 3.2 見えの表現と描写表現のスキーマ
4. 描写の典型的スキーマ
5. 動作表現と描写の関係
6. 物語の進行と描写?事例分析「象を撃つ」
7. 描写表現における話し手と聞き手
7.1 描写表現における話し手の登場の度合い
7.2 描写表現における聞き手
8. 英語と日本語との対照の観点から
9. むすび


第4章 談話を主導する話し手の機能と対話的効果
1. はじめに
2. 見えの表現と話し手による談話の主導
3. 文副詞による話し手のスタンスの表明
4. 文副詞の諸相
 4.1 文副詞の分類
 4.2 コメントとしての文副詞の機能
5. 態度離接詞における原因と結果の構造
6. むすび


第5章 文副詞の対話的効果
1. はじめに
2. 対話的効果としての強調
 2.1 重複と対話的効果としての強調
 2.2 対比と対話的効果としての強調
3. 対話的効果としての緩和
 3.1 緩和表現としての"probably"
 3.2 対話的効果としての緩和の創出プロセス
4. 因果関係からの逸脱
 4.1 法的離接詞における原因命題の稀薄化
 4.2 評価離接詞の対話的効果の増幅
5. むすび


第6章 話し手による対話的効果の諸相
1. はじめに
2. 態度離接詞と文体離接詞の相違
 2.1 態度離接詞の文体離接詞への接近
 2.2 文体離接詞の特質
3. 対話的効果の創出のための方策
 3.1 コメントの挿入による対話的効果の創出
 3.2 構文を用いた対話的効果の創出
 3.3 英語において特殊な手法を用いる場合
 3.4 英語において聞き手を取り入れた表現となっている場合
4. 転化についての再考
 4.1 認識レベルから提示レベルへの転化
 4.2 命題レベルから提示レベルへの転化
5. コミュニケーションにおける聞き手の役割
 5.1 分詞構文における聞き手の役割
 5.2 文副詞における聞き手の役割
6. むすび


終章
1. はじめに
2. 1つ目の問い
 2.1 2種類のスタンスとその表現方策
 2.2 命題へのスタンスから聞き手へのスタンスへの転化
 2.3 話し手のスタンスと対話的効果
3. 2つ目の問い
 3.1 原因と結果の構造における聞き手の位置
 3.2 コミュニケーションにおける聞き手の能動的役割
4. むすび
参考文献
索引