研究書 monograph

英米文学の可能性

―玉井暲教授退職記念論文集―

著者
英米文学の可能性
規格
菊判/896頁/定価12,600円
ISBN
978-4-269-76001-1
ジャンル
レベル
--
--

書籍内容 Contents

はしがき

1 特別寄稿論文

Graham Greene's "uncomfortable journeys" and His Subsequent Novels
George Hughes

なぜ戦場ツアーか? ―追悼、ゴシック、サブライム―
荒木映子

この不可解な現実 Joseph Conrad, Virginia Woolf, そして Paul Auster
神尾美津雄

『ノストローモ』点描 ―「ポストコロニアル」の視点を中心に―
木村茂雄

ナイボールはいかにしてディケンズと訣別したか
斎藤兆史

サロンと裏町―「プルーフロック」、「ある婦人の肖像」 50年後、100年後
植田和文

エミリ・ディキンソン、または、選択としての失恋
渡辺信二

ケイト・ショパン『目覚め』考
千石英世

小島信夫を読むためのコツ
阿部公彦

Literary Aspects of Translation of 1 Corinthians 13: The King James Version and the Book of Common Prayer
Paul A.S.Harvey

結果構文の動詞と結果述語の意味特性について
大庭幸男

概念拡張とテキストの結束関係
岡田禎之

2 イギリス文学

エリザベス一世とリベラルアーツ教育
溝手真理

罪への誘い ―「至福の園」の「薔薇の歌」―
足達賀代子

『ダビデとバト・シェバ』 ―1590年代の聖書劇をめぐって―
佐野隆弥

『ダイドー』説話群、殉死、エリザベス朝カルト ―女王カルトと民衆劇 1583-1599―
山田雄三

『マクベス』小論―衣服の比喩における市場経済と社会的流動性―
三浦誉史加

真実を越えて―『アントニーとクレオパトラ』における動作主名詞と誇張の用法―
村井和彦

なぜコウマスは逃げたのか ―『コウマス』における自然―
金崎八重

キリストの姿 ―『楽園回復』のコレオグラフィー―
川島伸博

ブロブディンナグ渡航記におけるユートピア的諸相
武内正美

ホガースの『兎を産んだ女』について ―想像と妊娠の間―
仙葉豊

見かけのテクストと判断力 ―『トム・ジョーンズ』における物語伝達―
武田雅史

ワーズワスの『教会ソネット集』 ―第二部を読む―
宮川清司

ワーズワスの『序曲』におけるスノードン山でのヴィジョン ―聴覚的イメージと視覚的イメージの転換―
池田景子

コールリッジの歴史感覚と発見的思考 ―ヴィーゴを介して―
中村仁紀

模倣と独創 ―キーツのソネットにみるlaurelの希求―
村井美代子

国家形成の神話としての『アイヴァンホー』
米本弘一

ジェイン・オースティンとE.M.フォースター ―『マンスフィールド・パーク』と『ハワーズ・エンド』をめぐって―
川口能久

ジェイン・エアの不美人性
服部慶子

『アグネス・グレイ』にみられる終末論
小川公代

ヘレンの情熱 ―『ワイルドフェル・ホールの住人』におけるアナベラの物語の挿入をめぐって―
片山美穂

『デイヴィッド・コパーフィールド』の深淵 ―結婚、家庭崇拝、セクシュアリティ―
新野緑

ヴィクトリア朝の女性労働をめぐる文化的コンテクスト ―「見えない存在」としての女中たち―
西村美保

『ヴァージニアの人々』にみるイングリッシュネス ―"ジャーマニズム"との対照において―
市橋孝道

真と偽の狭間で ―「ランスロットとエレイン」における「空想」―
田邊久美子

テニスンの『国王牧歌』に見られるダーウィニズムの影
関良子

「悩ましい世界」との調和を求めて ―『フロス河の水車場』における社会的自己確立の可能性―
馬渕恵里

『青い眼』における「反復」のメカニズム
伊藤佳子

『狂乱の群れをはなれて』における雑誌掲載のための戦略
麻畠徳子

ホモエロティックな欲望 ―『つまらない女』における逸脱的セクシュアリティ―
金田仁秀

人形への愛 ―『ドリアン・グレイの肖像』における芸術的嗜好の考察―
桐山恵子

真実からの距離 ―グレアム・グリーンの『静かなアメリカ人』と二つのアダプテーション―
鴨川啓信

ヴァージニア・ウルフ『船出』における「昏睡」
太田素子

もうひとつの船はどこに? ―E.M.フォスターの"The Other Boat"―
村田幸範

ベケット演劇と「無人」
垣口由香

ささやかなる理想像 ―フィリップ・ラーキンの詩を探る―
白川計子

「われもまたアルカディアにあり」 ―ディラン・トマス『ミルクの森で』の喜劇性に潜むもの―
仲渡一実

ポール・スコットの『ラジ4部作』と英領インドの終焉
伊勢芳夫

『かいじゅうたちのいるところ』に見る内と外の不可分性
乙黒麻記子

介護されるヒーロー ―憂い顔の「スロー・マン」―
服部典之

大学の英語教育における文学の活用 ―「視覚化」の重要性―
森田由利子

3 アメリカ文学

逸脱・矯正・病理化 ―「アリス・ピンチョン」における<視線>の機能―
小久保潤子

リグリーの怯え ―『アンクル・トムの小屋』における男女の力学―
森岡裕一

都市の病 ―フラヌールとしての『カサマシマ公爵婦人』―
高橋信隆

フロストの不屈の精神 ―Frost's Indomitable Spirit―
山津さゆり

娘になりたい ―『母の償い』におけるヒロインの加齢への抵抗―
吉野成美

『華麗なるギャッツビー』に反映されたマスメディアと消費社会
松岡絵梨子

若返りの功罪 ―ベンジャミン・バトンの「幸せな」最期―
橘幸子

「掛けられない絵」としての女性の欲望 ―「ミシガンの北で」と『われらの時代に』―
平井智子

"It Don't Mean a Thing" ―「清潔な明るい場所」にみる「無(ナダ)」の意味―
田中沙織

ヘンリー・ロス『それを眠りと呼べ』における内言と物語意識
片渕悦久

「ウォルドウ」というメディア ―「いま、ここ」にある物語を読む手がかりとしての拡張現実とサイボーグ―
小畑拓也

ポスト・ノヴェルと「人間」 ―ピンチョンの諸問題―
石割隆喜

ザッカーマンの物語技法 ―『ゴースト・ライター』における対置と脱線―
岩橋浩幸

『カラー・パープル』におけるフォークロア ―「笑い」、「色」の織りなすキルト―
阪口瑞穂

子供から大人への旅 ―『ディア ノーバディ』のクリスとヘレンの場合―
石川玲子

サム・シェパードの『シンパティコ』に見る「入れ替わり」の悲劇
森本道孝

『セックス・アンド・ザ・シティ』に見る愛のかたち ―ミランダとスティーブの場合―
堀恵子

「法のこちら側」 ―『ラヴ』にみるプライベート・コードと「知ること」―
隠岐尚子

英作文教育と批判理論
飯田未希

玉井暲教授略歴
玉井暲教授研究業績一覧

深い感謝を込めて
玉井暲

あとがき
執筆者一覧