人により見え方が異なるのか・・・・・・
それとも異質なるものは絶対的に存在するのか・・・・・・
「異質なるもの」との遭遇 現実世界の倫理の再構築へと誘う
本書に収めた論考は、定期的に研究誌を発行し、合評会等を通して活発に意見交換を行う『文学と評論』の会から八人が集い、種々の「異質なるもの」が蠢く文学の一端をお届けするものです。どんな「他者/未知」との出会いと、そこから喚起される想像力が、苦悩や希望を伴いつつ文学作品を生み出しているのか、そしてそれらが、私たち読者に何を問いかけるのか。今回の書籍が、文学による異世界へのひとつの案内状となれば、と願っています。(本書まえがきより)
まえがき 滝口 智子
Ⅰ イギリス文学
アン・ラドクリフ『ユドルフォ城の怪奇』における涙の抑制と窓辺からの風景 池田 裕子
マスクの役割 白石 治恵
P・B・シェリーのThe Mask of Anarchyにおける重層表現
クリスティナ・ロセッティのバラッド詩 滝口 智子
命がけの対話
ヘンリー・ジェイムズを驚かす異質な読者たち ハンフリー 恵子
ヴィクトリア朝における文学の商業化と大衆読者の登場
『ハムネット』を読む 上村 幸弘
魔女と賢い女性の狭間にて
Ⅱ アメリカ文学
『ドゥービンの生活』における「異質なるもの」のモティーフとその反復 島津 厚久
J.D.サリンジャーの文学作品における「病者」と自己治療の試み 尾田 知子
『ギヴァー記憶を注ぐ者』に見られる「異化効果」 佐藤 牧子
あとがき
索引