『責任』のなかの「1913年9月」という詩は、やはりヒュー・レインの絵画論争でのカトリックの中産階級を諷刺したものであるが、各連の終わりに配されたリフレインは、そんな頃の彼の心境をよく表している。
ロマンチックなアイルランドは とうに亡くなって、
オリアリーとともに墓の中。
・・・いわゆる「復活祭蜂起」が決行されたのである。その戦闘はわずか一週間で鎮圧されたとはいえ、彼らは祖国アイルランドの独立を宣言した。その後のアイルランドの状況は「独立戦争」「アイルランド自治国」の成立、「内戦」と目まぐるしい展開を見せる。・・・イェイツ自身がこれらのことを目撃・経験しなかったならば、・・・実相を詠わなかったなら、イェイツ芸術における「恐ろしい美」は生まれなかったはずである。・・・