序文
第1章 越境する記憶―『遠い山なみの光』の光と影
1 越境する記憶への旅
2 原爆と隠れキリシタンの輪廻の語り
3 教育イデオロギーの語り
4 女性の人生の語り
5 遠い山なみの光と影
第2章 戦争画と共に消去された記憶の再生―『浮世の画家』における心の闇
1 浮世の画家たちの記憶と忘却
2 画家の大邸宅が内容するイデオロギー
3 日本美術の誕生の裏に隠された画家の運命
3-1 ナショナリズムの中で生まれた日本美術
3-2 ナショナリズムに対立する退廃芸術
4 戦争画家というもう一つの犠牲者
5 記憶と忘却の中で翻弄する芸術
第3章 現代の寓話―『日の名残り』におけるホロコーストとの対峙
1 人生の忘れ物を探して
2 巻き戻される失われた時間
3 再構築される失われた空間
4 未来への序曲
第4章 アネクドートへの挑戦―『充たされざる者』における都市が秘めた記憶
1 充たされざるアネクドート
2 越境する中欧、記憶する街、彷徨える都市文化
3 個人の過去の記憶への扉
4 家族をめぐる忘却と記憶の連鎖
5 忘却の街の記憶
6 現代音楽にみる未来性
7 充たされざる21世紀
第5章 記憶の裏切り―『わたしたちが孤児だったころ』の不条理な世界
1 負の連鎖が造る不条理な世界
2 裏切りの街、上海租界
2-1 上海租界という帝国主義の庭園
2-2 長崎―上海、憧れの航路の神話崩壊
3 異邦人の時代―負の歴史の中に存在する自我
4 母を求めて、幻想から現実へ
5 絶望からの帰還
第6章 クローン人間政治学―『わたしを離さないで』における生命倫理の軌跡
1 クローン人間政治学への扉
2 文学におけるクローン人間創造の軌跡
3 生命倫理への挑戦
4 生命の証と怒りの行方
5 人間の尊厳を求めて
6 自律の原則への反抗
7 わたしを離さないで、わたしを抱きしめて
第7章 暴力のルーツを探る神話再構築―『忘れられた巨人』の中に生きている私達
1 神話再構築の原理
2 記憶と忘却の繰り返しを内包する歴史
3 虚構と真実の葛藤を紡ぐ神話
4 忘れられた巨人が住むところ
5 21世紀の神話回帰
あとがき
参考文献