研究書 monograph

ヴァージニア・ウルフの「パーティ空間」

著者
太田素子 著
ヴァージニア・ウルフの「パーティ空間」
規格
A5判/240頁/定価(本体2,800円+税)
ISBN
978-4-269-72151-7
ジャンル
レベル
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時間の作家、ウルフを空間的に把握する論考!
疾走する時計の時間における、わずかな停止空間である「瞬間」を捉えるための儀式、それがパーティである。
ヴァージニア・ウルフにおける「パーティ空間」の特色と意義を、多くのイメージの読解によって解明していく。

『ダロウェイ夫人』のクラリサは、パーティの意味を問われて、「私がパーティを開くのは人生のためだ。
人生とは、ある場所にある人がおり、別の場所には別の誰か、さらに別の場所に他の誰かがいる、これらの人の存在をたえず私は意識しているというものだ。私はなんと無駄なこと、なんと惜しいことと思う。
彼らを一堂に集めることさえ出来たらと思う。そこでそうするのだ。パーティとは結合し創造する努力、一つの供物(offering)である」という風に言っている。(本書「序」より)

書籍内容 Contents

序               

第1章 『船出』における昏睡                   
第2章 『夜と昼』のアフタヌーンティーパーティ                 
第3章 『ジェイコブの部屋』の闇と光のイメージ                 
第4章 「瞬間」の啓示と"Here it is." の型の文
第5章 クリストファー・エイムズのパーティ論:祝祭・パーティ・小説
第6章 四つのパーティ:『ダロウェイ夫人』『灯台へ』『波』
第7章 ヴァージニア・ウルフの「パーティ空間」
第8章 『ダロウェイ夫人』の部屋のイメージ             
第9章 個我と死:『波』の世界
第10章 空、陸、海:ヴァージニア・ウルフのイメジャリ
第11章 『オーランドー』『歳月』における昏睡と覚醒
第12章 『幕間』における固有性喪失の儀式
結語
あとがき
初出一覧
参考文献